高度成長期の日本と、その背景を支えるかのように足されていった土地と建物の歴史を感じずにはいられなかった。

書道や狂言にも精通した施主のお家である。 その磨かれた感性に、上手く応えられるか。

与えられたお題は 『木もれ陽』

間口の狭く、奥行きの深い、奈良町独特の敷地形状のなかで そんなことをどうやって叶えるか？

から始まったプランニング。

木もれ陽は太陽が射すあいだしか拝めない。 しかしながら雨の日だろうと太陽は変わらず毎日昇り沈んでいく。 少しでも光が無ければ、何も見えない。 見えないことは、無いこととはまた違うのだけれど。。

誤解を恐れずに拡大解釈するならば、雨さえも糧として愉しめるような家。

大きな子どもがいて、いずれ独立していく家 ワンフロアで生活の多くが事足る家 ピアノが置けるリビング 埋もれた井戸がまた陽の目をみることになったり・・・ 前のお家での想い出も忘れずに

そんなことを思って設計・施工を心掛けました。